縄文土器作り教室に参加(2) [今迄の事]

 土器作りに参加したばかりで、考古の知識が全くないズブの素人に、この、土器片を見て、土器の形・部位・形式名がわかるようになれ。この縄文は、充填縄文か、擦り消し縄文か良く観察しろ。また、目的意識を持ち、土器を良く観察して忠実に模倣し、完成後に比較して課題が無くなるまで作れ。この基本から外れたら、考古館で土器を作る意味はなく、市中の「陶芸教室」に行け。
 つまり、市販の粘土を使い、外観を空想でまねて、炉で焼き、玄関が一杯になったらお仕舞の、何でもありの土器作りではなく、本物を良く観察して忠実に模倣することが大切であると教えられた。

 本物の土器をモデルにつかった「縄文土器作り教室」の内容は下記のようであった。
1.文化財とは何か、文化財の大切さとは何かを知れ。
2.モデル土器は、世界に一つしか無い、絶対にさわるな。粘土のトビハネに気を付けろ。
3.土器の形、文様、装飾の美しさを再現したい。施文具を復元したい。土器で煮炊きをしてみたい。など、目的をもって土器作りをすること。
4.忠実に模倣するためには、正確な観察が基本である。
①器形:底径・胴径・口縁の径・器壁の厚さ
②文様と施文法:文様の位置・文様の構成・施文の順序・施文具
③成形と整形法:積み上げ法・整形法・ナデ
5.製作環境:気温・湿度・太陽光線・風等を考えて作れ。
6.材料と道具:縄文人が使えた物に限定すること。やむを得ず、プラスチックや金属製品を使用する場合は、本当は何であったかを考えながら作れ。但し、回転台は論外である。


DSC02346 (800x600).jpg
<土器片を見て、土器全体を想像しろと言われた。>

DSC02354 (600x800).jpg
<イメージが少し異なるが、上の土器片と同じ曽利式土器>


DSC02349 (800x600).jpg
<縄文の施文方が、擦り消し縄文か、充填縄文か良く観察しろと言われた。>

「縄文土器作り教室」にかけた考古館の熱い思いは何であったか疑問が残っていたが、先日、当時の資料を閲覧する機会があり、「縄文土器作り教室」の目的として、「考古館の教育普及活動の一貫として、縄文土器を作ることで縄文人の生活を体験したいと機運が高まっていることから、縄文土器を観察し、製作する事で縄文人の、文化技術・思想の一部を体得し、縄文文化の理解と関心を深めること」。また、別の年の目的として、「縄文土器と同じ方法で土器を作り、文様をつけ、野焼きして、縄文時代の生活追体験し、彼らが土器を作った目的や、その技術、知恵を実感的に捉えて、縄文時代の理解と関心を深める。」と記されており納得した。

 土器作り教室に参加した時は、えらく難しい事を言うと思った。しかし、「考古学に基づいた土器作りをしろ」と徹底的に「刷り込まれた」おかげで、考古学を楽しみむ方向を見失うことなくここまで来ることができたと今は感謝している。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。