未乾燥土器の凍結実験 [やってみた]

 以前、11月に入ってから土器を作り、凍らせてしまったという苦い経験がある。この時は写真も記録も取らなかった。そこで、凍る時しかできないと、器面の変化を観察するための土器を作り、未乾燥の土器が凍結するとどうなるかの実験を行った。

10年2月16日 Pm2:00 晴れ ひだまりの気温10℃ 無風
実験用の土器を作り、日の当たらない場所に保管した。
サイズ 底径8㎝×口径16㎝×高さ17.5㎝ 重さ 1.62㎏
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翌2月17日 早朝 -2℃ (正午9.0℃)
 土器が一晩で完全に凍結した。剥げるように割れる原因は、弱い部分に水が、徐々に集まりながら凍るためで、今はやりの急速冷凍であればこの現象は起こらないと思う。
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輪積の通りに2本の割れが見える。
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内側も割れている。
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経過
2月18日 不明       (正午 4.5℃)
2月19日 早朝 -9.5℃ (正午 4.5℃)
2月20日 早朝 -7.0℃ (正午 5.0℃)
2月21日 早朝 -3.5℃ (正午10.0℃)
2月22日 解凍と乾燥を目的に、マイナスにない場所に移して保管。


2月25日 乾燥したことを確認して観察する。
 乾燥時(1.39㎏)÷ 未乾燥時(1.62㎏)≒0.85(蒸発した水分約15%)
凍結した2月17日の時と割れ方に変化はない。
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外側を割れ目から剥いで観察する。
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輪積箇所の割れの差 A、B、Cは輪積の箇所である。AとBは割れているが、Cは割れていない。理由は、輪積のときにAとBはわずか水を付けたが、Cは全く水を付けなかったことの違いである。この事は、輪積の接合部に水を(ドベ)を付けると弱くなるという事を示唆しているのかもしれない。
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破断面を観ると、土器の曲線に添って割れ目が入っている。これは、外側から順に凍結して層状になったこと。土器が、粘土を圧延して作られていること、の2つの理由があると思う。この「石目」ならぬ「土目」は、出土した土器片の破断面によく観られる。
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最後に粉々にした。でも、練り直せばまた土器を作る事ができる。これが石器と違い、大変都合の良い所である。
ちなみに、この練り込みと凍結を3年程繰り返すと、驚くほど、作りやすい粘土に変身する。
DSC02142 (800x600).jpg

「やっても見ないで、わかったような事を言うな」の教えに従い、ダメだとわかっているが、「未乾燥の土器が凍るとどうなるか」実験した。

でも、晩秋の気温10℃は手がかじかみ、土器作りは難しいが、2月末の10℃は躰が寒さに慣れていて暖かく感じ、作ることに支障はなく、凍結防止を行えば、八ヶ岳西麓でも、土器作りができるとわかった事が、今回の収穫である。

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うつマモル

今日は。アレレ!一番乗りですか。私では役不足ですが宜しくお願い致します。(^-^)
by うつマモル (2011-02-28 11:06) 

やっため

こちらこそよろしくおねがいします。 
by やっため (2011-02-28 17:18) 

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