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「敲く」と「叩く」 [石器作り用語]

些細なことだが、文書で使う「漢字」で悩むことがある。その一つが「たたく」である。パソコンで、「いしをたたく」と入力すると「石を敲く」と「石を叩く」が現れ、どちらを選べばよいか良くわからない。手元の辞書には納得できる説明がなく、図書館に行き、「字通」を開き解説文からヒントを得て、「敲く」を用いることに決めた。

「敲」の読みは<こう・うつ・たたく>。漢字のもつ意味は、①うつ、たたく、よこざまにたたく、屍骨をうつ呪法をいう。②たたく音、中空のものを打つ音。③たたく、むち、しもと。
熟語として、①敲門<こうもん>門をたたく。②敲金<こうきん>高音。敲吟<推敲する。④敲撃<こうげき>うつ。⑤敲砕<こうさい>砕く。⑥敲殺<こうさつ>撲殺する。⑦敲矢<こうし>嚆矢<かぶらや>⑧敲詩<こうし>詩謎。⑨敲推<こうすい>推敲する。⑩敲石<こうせき>火打ち石。⑪敲折<こうせつ>たたきおる。⑫敲打<こうだ>うつ⑬敲訂<こうてい>推敲する。⑭敲平<こうへい>敲某(意味不明?)⑮敲榜<こうぼう>むち。⑯敲朴<こうぼく>むち。⑰敲拉<こうろう>うちくだく。

「叩」の読みは、<こう・たたく> 漢字のもつ意味は、①頭をうつ、ぬかずく、たたく。②とう、たずねる。③控と通じ、ひかえる。熟語として、①叩轅<こうえん>車のながえをたたく。 ②叩関<こうかん>関門をたたく。③叩舷<こうげん>船端をたたいて拍子をとる。④叩心<こうしん>胸をたたいて嘆く。⑤叩喪<こうそう>弔い拝する。⑥叩頭<こうとう>降伏の礼。⑦叩門<こうもん>門をたたく。人を訪う。

「敲」に決めた理由  「字通」の説明文を自分流に解釈すると、「敲」は、物を壊す事を目的とする場合や、物が壊れてもよいとするような場合に使われ、上記の熟語の中で、石器の加工や土器の素地作りの工程に使用できる熟語として、⑤敲砕<こうさい>くだく。⑪敲折<こうせつ>たたきおる。⑫敲打<こうだ>うつ。⑰敲拉<こうろう>うちくだく。がある。また、石の種類として、⑩敲石<こうせき>火打ち石。がある。
一方、「叩」は、人の心のように、姿かたちが無い場合や、形を変えることを目的としない場合に使われており、加工に関係する熟語はない。

下の2枚は、サヌカイトをたたいている写真である。上の写真のように、鹿の角でたたいて石器を作ろうとする場合、つまり、姿を変えたい場合は、「敲」を用い、下の写真のように、木製のハンマーでたたいて、音を聞くような場合は「叩」のほうが良いと考えた。
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DSC02231 (800x600).jpg

以上は、「字通」の説明文から都合の良い部分を抜粋したものであり、原文を一読されることを、望みます。

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