黒曜石・下呂石・サヌカイト・石目(1) [石器作り]

 黒曜石を主として敲いていたため「石目」とは無縁に近かった。神子柴の尖頭器作りで、「下呂石」を敲いて、「石目」が石器の加工に重要な役割をしていることを知り、「サヌカイト」も手に入れて、比較したことについて、「石目」・「黒曜石」・「下呂石」・「サヌカイト」の順でまとめてみたい。

「石目」とは何か 「石の目」と、インターネットで検索したところ、「石の目に一致する情報は見つかりませんでした。」と表示され、キーワード候補の「石目」を、クリックすると、「節理や地層の走向などのために岩石の裂けやすい方向。石工が岩を割る時に利用する」(日本国語大辞典)とあった。後日、図書館に行き、「広辞苑」・「大辞泉」・「大辞林」の三冊を調べたが、「石の目」は無く、今後、「石目」を用いることに決めた。また、他の資料も参考にして、「石目」とは、割れにくい石の中に存在する、割れやすい(裂け易い)層であり、「石目」が発生する原因は多様であると理解した。

「石の面」を表す用語 石器の加工にとって重要な、「石目」と「石の面」の関係を表す用語を調べた。その結果、面を表す用語として、「一番・二番・重ね」、「1の目・2の目・3の目」、「順目・逆目」、「女面・男面」の組み合わせがあり、「割れやすい面」・「次に割れやすい面」・「割れにくい面」などの説明文が付いていたが、手元にある石と、石の面との関係がよく理解できなかった。
 

 概念図 そこで、誰でも同じように理解できる方法として、原石は「四角柱」であり、A面は「石目」に平行であるとして、(図1)の概念図を書き、石器を加工する立場から見た面のグループ化と、それに相応しい「やっため用語」を考えた。
石目概念図1.png

 まず、A面の反対側の面は反転するとA面と同じ条件になることから、A面グループとし、呼称として、「石目によって生まれた面」であることから「石目の面」。次に、A面から見て、B面と残りの3面は、全て側面であり、B面グループとし、呼称として、「石目面側面」としてもよいが、石目が重ねって見えることを由来とする「重ね」を借用して、「石目重ね面」。最後に、概念図には無いが、A面に対して斜めに加工した場合に現れる、斜めの面をC面として、そのままの「石目斜め面」とすれば、全ての面を表す事ができると考えた。
 尚、実際の加工では、「石目の面」と、「石目重ね面」は、極めて少なく、「石目斜め面」が大多数を占める。

「石目」・「加圧方向」・「石片」・「加工技術」の関係 「石目」に対する「加圧の方向」は、図1の矢印ように「4通り」が考えられた。
①「石目の面に対し垂直に加圧」 :石目を最短距離で切った剥片となる。加工技術は思いつかない。
②「全ての面から、石目に対し斜めに加圧」 :剥離加工の主たる加圧方向となる。しかし、石目の影響を受け易く、角度によって、波打った剥離面や、ステップが生まれる。
③「石目重ね面から、石目に対し平行な加圧」 :石目を利用しての分割法で、最もキレイな石目面が現れる。
④「石目重ね面から、石目に対し直角に加圧」 :長い石目が複数列見える剥片となる。 尖頭器の加工では、無関係の方向であるが、石目の影響が少ないため、石刃の剥離に利用した可能性が高い。


 これで、必要と思われる「やっため用語」の準備ができたので、次は、「黒曜石の石目」についてまとめてみたい。

 追記 先日公開した、「石目と加工方向」の概念図は、基本的に間違いは有りませんが、説明しにくい部分があり書き換えました。 ・・・・ スミマセン ・・・・・ 
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